ベルンハルト・シュリンク 『朗読者』 感想 

 

朗読者 (新潮文庫)

朗読者 (新潮文庫)

 

 何とも切ない現代ドイツ小説。

 

15歳の少年が36歳の女性と恋に落ちた。

性愛に溺れる2人。

しかし、その女性は、実はナチス協力者だった。

第二次世界大戦後20年近く経った裁判で裁かれることになった女性。その時、大人になった少年は何を感じ、その後の人生にどう影響したのか。

 

この小説でショッキングに感じたのは、ドイツ(西ドイツ)は戦後にドイツ人の手で戦犯裁判を開いており、戦後かなり時間が経ってからも戦犯とされた人々をかなり重い罪で裁いているという点だった。

 

ドイツと日本、共に枢軸国として第二次世界大戦を戦った国ではあるが、戦後の戦争への向き合い方については、どちらかが良かったかの判断はまだ下せない(歴史的に評価できるにはまだ時間が足りない)。

 

しかし、少なくとも戦後20年近く経っても、戦犯裁判を開いていたドイツの方法は、国民に暗い影を投げかけたのだろう。